一般ミステリ

カレン・M・マクマナス『誰かが嘘をついている』ネタバレ感想 - 青春群像劇にミステリーの隠し味

カレン・M・マクマナス『誰かが嘘をついている』(原題:One of Us Is Lying)読み終わった。※ 完全なるネタバレが含まれるので、閲覧には注意してくださいサンディエゴの高校で居残りを言い渡された高校生の5人。居残り中に1人が何者かに殺害され、高校生4…

沢村浩輔『海賊島の殺人』感想 - 少年漫画風海賊物語と孤島ものミステリーの合体

沢村浩輔『海賊島の殺人』読み終わった。前作の『夜の床屋』が大ヒットした沢村浩輔の長編ミステリー。文庫化によって『北半球の南十字星』から改題された。長編とは言ったものの前半と後半で少し読み口が異なる。前半は『ONE PIECE』のような少年漫画風の軽…

佐藤究『QJKJQ』感想 - 殺人を通して人間を描く試みは成功しているのか?

佐藤究『QJKJQ』読み終わった。猟奇殺人鬼の一家に生まれた少女が、あるきっかけから世界の見方を一変させられ、殺人、そしてそれを通して人間を描いていくミステリーである。第62回江戸川乱歩賞受賞作。有栖川有栖と今野敏が激賞した。最近の江戸川乱歩賞に…

二階堂黎人『増加博士の事件簿』感想 - パズルのようなショートショートミステリー

二階堂黎人『増加博士の事件簿』読み終わった。「大変です、増加博士。事件が発生しました。」 「老体の儂をこんな荒野まで呼び出すことは何事じゃ。」 ジャパリパークへと呼び出された増加博士は、息を切らせながら言った。 「殺人事件です。1人の女性が刺…

竹本健治『ウロボロスの純正音律』感想 - 衒学的で遊び心溢れる本格?ミステリー

竹本健治『ウロボロスの純正音律』読み終わった。これでようやくウロボロス三部作を読み終わったわけなんですが、感想記事のサブタイトルを『偽書』ではアンチミステリー、『基礎論』ではウンチミステリーとしていました。そこで何とかミステリーというタイ…

竹本健治『ウロボロスの基礎論』感想 - やりたい放題のウンチミステリー

竹本健治『ウロボロスの基礎論』読み終わった。前作『ウロボロスの偽書』の続編です。『偽書』の感想は以下の記事を参照ください。 前回の感想でアンチミステリーについて偉そうに語る立場にないと書きましたが、確かに私にはアンチミステリーという概念の定…

竹本健治『ウロボロスの偽書』感想 - あやふやで茫洋としたアンチミステリー

竹本健治『ウロボロスの偽書』読み終わった。竹本健治さんといえば『匣の中の失楽』のようなアンチミステリーが有名ですが、本作も『匣』のような雰囲気のアンチミステリーになっています。と、書いたのですが実は私は『匣の中の失楽』を読んでいません。そ…

高林さわ『バイリンガル』感想 - 目新しい試みのあるミステリーだが…

高林さわ『バイリンガル』読み終わった。こちらは第5回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞というミステリ作家の島田荘司さん1人が審査員を務める個性的な賞の受賞作になります。まずはあらすじを引用します。 アメリカの大学都市で30年前に起きた母娘誘拐事…

柳広司『贋作『坊っちゃん』殺人事件』感想

柳広司『贋作『坊っちゃん』殺人事件』読み終わった。夏目漱石の『坊っちゃん』を底本として、その世界観を受け継ぎミステリーへと仕立て上げたパスティーシュミステリーである。本作では坊っちゃんと山嵐が東京に戻った直後に起こった赤シャツの自殺が本当…

直木賞を受賞した門井慶喜さんのオススメ小説5選

第158回芥川賞、直木賞が発表され、芥川賞には石井遊佳さんの「百年泥」と、若竹千佐子さんの「おらおらでひとりいぐも」の2作、直木賞は門井慶喜さんの「銀河鉄道の父」が選ばれました。 門井慶喜さんはオール讀物推理小説新人賞受賞者でミステリに定評が…

北村薫『太宰治の辞書』感想

北村薫『太宰治の辞書』を読み終わりました。 『円紫さんと私』シリーズの17年ぶりの続編です。現実世界の17年が小説世界でも17年が経過し、「私」が大人になって結婚して中学生の息子もいます。 作中で太宰治の『女生徒』はある女性の日記をベースにして書…