七河迦南『七つの海を照らす星』感想

七河迦南『七つの海を照らす星』読み終わった。

七つの海を照らす星 (創元推理文庫)
 

第18回鮎川哲也賞受賞作品。

東京創元社お得意?の連作による日常の謎の短編集です。

北村薫さんのような人の悪意が覗くような日常の謎ではなく児童養護施設を舞台にした端正な文体で紡がれるハートフルなストーリーが魅力です。

 

ミステリとしてもデビュー作とは思えないほどなかなかレベルが高いです。

第二話『滅びの指輪』はトリックが分かりやすいきらいはあるものの児童養護施設児童相談所の特性を上手く使っています。

また連作短編なので表題作の第七話で意外な真相が明らかになるのですが伏線の張り方が非常に面白いです。

 

あえて問題点を言うとすれば、短編の多くが人間消失の謎であり多様性に薄いことや文章における指示語や代名詞の使い方が少し読みにくさを感じることがあります。

しかしながら様々な試みやお遊びがなされていて完成度の高い小説であることは間違いないです。

 

続編『アルバトロスは羽ばたかない』が11月30日に文庫化します。

(自分はまだ読んでないのですが)ミステリ部分もパワーアップしているらしいので気に入った方はそちらも。