有栖川有栖『鍵の掛かった男』感想

有栖川有栖『鍵の掛かった男』を読み終わりました。

 

700ページ強にも渡る大ボリュームの火村英生シリーズの長編です。
序盤から中盤にかけては有栖が単独で梨田稔の謎に包まれた過去を追います。足で情報を集めていく様子は昔のハードボイルド小説のようです。
梨田稔が明らかになるにつれ、事件の様相が少しずつ見えてきて、そして(明らかに他殺だと分かるのでここはネタバレしますが)犯人を指摘するに至ります。
ここでの盛り上がりは流石でページをめくるのがやめられなくなること請け合いなのですが、最近の本格ミステリなどに比べると700ページも費やした割には謎解きが地味という印象は拭えません。
 
人の謎を解くという趣向は有栖川有栖さんらしい人間模様や内面描写が存分に生かされているのですが好ましく思える方とそうではない方がいるのではないかと感じました。
テレビのサスペンスが好きな方は楽しく読めると思います。

 

鍵の掛かった男 (幻冬舎文庫)

鍵の掛かった男 (幻冬舎文庫)

 

中之島のホテルで梨田稔(69)が死んだ。警察は自殺と断定。だが同ホテルが定宿の作家・影浦浪子は疑問を持った。彼はスイートに5年住み周囲に愛され2億円預金があった。影浦は死の謎の解明を推理作家の有栖川有栖と友人の火村英生に依頼。が調査は難航。彼の人生は闇で鍵の掛かった状態だった。梨田とは誰か?他殺なら犯人は?驚愕の悲劇的結末!