麻耶雄嵩『化石少女』感想

麻耶雄嵩『化石少女』を読み終わりました。 

 

最近の本格ミステリを牽引する旗手の麻耶雄嵩による学園を舞台にした青春?ユーモアミステリ。とはいうものの、さすがは麻耶雄嵩、一筋縄ではいきません。
所属している古生物部を廃部にしようとする生徒会への敵意から、まりあが生徒会生徒を勝手に犯人に仕立て上げて推理を積み重ねて行く趣向は『さよなら神様』とよく似ています。
しかしながら本作では探偵が『神様』ではないため主人公の助手役に荒唐無稽だと否定されるところが異なっています。
ただ、あらすじには奇天烈推理とあるのですがミステリ好きからすれば出発点が異なっているだけでいたって普通の推理であり、これを否定イコール本格ミステリの不安定さを暴き出す小説とも言え、この点でも麻耶雄嵩らしさが垣間見えます。
 
最終話の『赤と黒』および『エピローグ』でこの推理とその否定の構図の本領が発揮されるような結末に至ります。
学園物だからって安直に、主人公がまりあのことが好きになったから一緒にいるようになったという終わりにしないところも上手いです。

 

化石少女 (徳間文庫)

化石少女 (徳間文庫)

 

学園の一角にそびえる白壁には、日が傾くと部活に励む生徒らの姿が映った。そしてある宵、壁は映し出す、禍々しい場面を…。京都の名門高校に続発する怪事件。挑むは化石オタクにして、極めつきの劣等生・神舞まりあ。哀れ、お供にされた一年生男子と繰り広げる奇天烈推理の数々。いったい事件の解決はどうなってしまうのか?ミステリ界の鬼才がまたまた生み出した、とんでも探偵!