坂口安吾『不連続殺人事件』感想

坂口安吾『不連続殺人事件』読み終わった。

この作品には大量の人物が出てくるのですが、登場人物表と家系図は一切なく人物の把握に時間がかかります。なのでここにまとめておきたいと思います。読むときの助けになれば嬉しいです。

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矢代寸兵…語り手。

矢代京子…寸兵の妻。多聞の元妾。

歌川多門…舞台の家の持ち主。好色漢。

歌川梶子…多門の妻。前年の夏自殺。

歌川一馬…多門の息子。詩人。

歌川あやか…一馬の妻。

歌川珠緒…一馬の妹。

望月王仁…作家。粗暴、傲慢無礼。

丹後弓彦…作家。陰険な捻くれ者。

内海明…詩人。セムシ。

宇津木秋子…女流作家。一馬の元妻。

三宅木兵衛…フランス文学者。秋子の夫。

人見小六…劇作家。

明石胡蝶…女優。小六の妻。一馬を思慕。

土居光一…画家。あやかと過去に同棲。

海老塚医師…村の医者。ビッコ。

諸井琴路…看護婦。

南雲一松…疎開している老人。

お由良婆さま…一松の妻。多門の実妹

南雲千草…一松とお由良婆さまの娘。醜女。

加代子…多門の隠し子。女中扱い。

山東洋…弁護士。多門の秘書。

神山木曽乃…新橋の元芸者。東洋の妻。

坪田平吉…日本橋の小料理屋ツボ平亭主。元歌川家料理人。

坪田テルヨ…平吉の妻。元歌川家女中。

 

下枝…侍女。多聞の寵愛を受ける。

富岡八重…女中。

 

カングリ警部…捜査部長。平野雄高。

八丁鼻…刑事。荒広介。

読ミスギ…刑事。長畑千冬。

アタピン…刑事。飯塚文子。

 

巨勢博士…探偵。

 

中学生の時に坂口安吾の『白痴』や『堕落論』を読んでシニカルな社会風刺が厨二心にかっこいいと思っていました。

その後、大人になってから本格ミステリをよく読むようになって坂口安吾推理小説を書いていたことを知り、いつかは読みたいと思って何年か経ってしまったのですが漸く読みました。

評価に違わずしっかりとした本格ミステリで面白かったです。本来であれば不自然に見えてしまうような行動も登場人物が全員風変わりという特殊な舞台設定が上手く機能しています。(解説にもありましたが)チェスタトンの「木を隠すなら森の中」を最大限生かしたもので、これが成立できているのは坂口安吾の筆力の賜物だと思います。

また密室などの物理トリックではなく心理トリックを重視しているのも『ブラウン神父』シリーズと似通っています。この姿勢は以下に引用するように坂口安吾は犯人はとことん合理的であるべきという信念があったのでしょう。

扉を糸に結んで自然にしまる装置をするとか、密室の殺人を装うとか、そういう小細工は小細工自身がすでに足跡というものでさア。すでに一つの心理を語っているではありませんか。

メイントリックはもちろん、人間心理を利用した偽手掛かりも良くできています。

ミステリ以外の部分でも丁々発止の掛け合いが面白く、青空文庫にもあるので是非読んでほしい作品です。

不連続殺人事件 (角川文庫)

不連続殺人事件 (角川文庫)

 

戦後間もないある夏、詩人・歌川一馬の招待で、山奥の豪邸に集まったさまざまな男女。作家、詩人、画家、劇作家、女優など、いずれ劣らぬ変人・奇人ぞろい。邸内に異常な愛と憎しみが交錯するうちに、世にも恐るべき、8人の殺人が生まれた!不連続殺人の裏に秘められた悪魔の意図は何か?鬼才安吾が読者に挑んだ不滅のトリック!多くのミステリ作家が絶賛する、日本推理小説史に輝く傑作。第2回探偵作家クラブ賞受賞作。