井上真偽『探偵が早すぎる(下)』感想

井上真偽『探偵が早すぎる(下)』読み終わった。

上巻の感想は以下からどうぞ。

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上巻は犯行計画が3つしかなかったが、下巻ではこの短い300ページもの間に8つの犯行計画があり息もつかせぬ展開になっている。一華を暗殺するのは早い者勝ちという設定なので、犯人vs探偵という構図以外にも犯人vs犯人の騙し合いのような要素もあり、むしろそっちのほうが面白かったりする。

ミステリの推理要素は上巻と同じく少ないが、第5話の犯行計画を阻止するまでの推理は上手くできている。まだ第7話の最後の犯行計画もトリックは面白いのだが、それに繋がる犯行未遂をもう少ししっかり書いてほしかった。 これだけ他のものに比べて扱いが薄く、浮いているので何か仕掛けがあるのかなと予想してしまう。

「探偵がいるから事件が起きてしまう」と言われることがあります。これが探偵の苦悩として描かれることが良くあります。本作の場合は全く逆で「探偵がいるから事件が起きない」という構図になっており、これで探偵は苦悩から解放されるのかと思いきや、エピローグで探偵はまた悩んでいます。事件が起きようが起きまいが探偵は苦悩するという描かれ方は、探偵という存在に新しいイメージを付与するものだと言うのは言い過ぎでしょうか。

 

探偵が早すぎる (下) (講談社タイガ)

探偵が早すぎる (下) (講談社タイガ)

 

『俺はまだ、トリックを仕掛けてすらいないんだぞ!?』完全犯罪を企み、実行する前に、探偵に見抜かれてしまった犯人の悲鳴が響く。父から莫大な遺産を相続した女子高生の一華。四十九日の法要で、彼女を暗殺するチャンスは、寺での読経時、墓での納骨時、ホテルでの会食時の三回!犯人たちは、今度こそ彼女を亡き者にできるのか!?百花繚乱の完全犯罪トリックvs事件を起こさせない探偵!