市川哲也『名探偵の証明』感想

市川哲也『名探偵の証明』読み終わった。

第23回鮎川哲也賞受賞作ということで期待して読みましたが少し期待はずれだったようです。

 

名探偵の一人称で物語を進めて名探偵の生き様や苦悩、そして老いについて色濃く描いていくのが本作の骨子だと思うのですが、それにしてもミステリ自体が前時代的すぎて2010年代に出たような本とは思えません。

『屋上の名探偵』は以前読んでいたので、その登場人物の蜜柑花子と屋敷啓次郎の推理合戦を楽しみにしていたのですが、そういうわけでもなく肩透かしの連続でした。

最終的などんでん返しも想像の範囲内で、むしろ「想像力」が探偵に大事なのであれば、なぜその場で気付かなかったのか不思議なくらいです。このような趣向は過去の作品にいくつか作例があるので分かりやすいです。

 

重要な名探偵の生き様も書き切れているとは思えませんでした。後期クイーン問題の第二問題にちょっと触れてみたのようなスタンスはあまり好きになれません。

 

名探偵の証明 (創元推理文庫)

名探偵の証明 (創元推理文庫)

 

30年前に一世を風靡し、「新本格ブーム」を引き起こした伝説の名探偵・屋敷啓次郎。行く先々で事件に遭遇するものの、その解決率はほぼ十割を誇るー。時は過ぎて現代、老いたヒーローは資産家一家に届いた脅迫状の謎をめぐり、タレントとしても活躍している探偵・蜜柑花子と対決することになるが…。名探偵たちの生き様を、鮮烈に描いた第23回受賞作、待望の文庫化。