アニメ『三つ星カラーズ』は本格ミステリの魂が詰まったアニメだ

1月から放送開始されているアニメ『三つ星カラーズ』が面白いです。
簡単にあらすじを説明すると、東京・上野でカラーズという結衣、さっちゃん、琴葉の小学生女子3名から成る秘密組織?が商店街の店主や警官と交流しながら、街の平和を守るために毎日活動するというゆるふわコメディアニメです。

間の取り方が上手くてコメディとしても面白いのですがミステリとしてもなかなか侮れないアニメです。今回は2話の2本目を例にとって『三つ星カラーズ』をミステリ的に読み解こうと思います。

まず、クリーンアップキャンペーンという街を綺麗にする企画が催されることを、カラーズの3人組は仲の良い商店街の店長から聞かされます。

クリーンアップキャンペーンにはしゃぐ3人は立ち入り禁止と書かれた路地を見つけます。

以前までは立入禁止でなかったこの路地が、なぜ封鎖されているのか訝しがった好奇心旺盛な3人は死体が捨てられているのではと立入禁止区域に入り込んでしまいます。

しかしそれをある男に見咎められ脇目も振らず3人は走って逃げます。

ここで琴葉がなぜ封鎖されているのかの仮説を3つ立てます。
・ガスのような見えないものや子供の背の届かない上に何かあった場合
・ある一定のタイミングで何かが発生する場合
・男が何かを隠すために立ち入り禁止にした場合
そして逃げている最中にまた新たな立入禁止路地を見つけます。3人は例によって侵入し、上の方に何かあるかガスのようなものが漂っているかを確認します。

しかし何もありません。琴葉は仮説1を却下、仮説2も複数の地点で何かが発生するのは考えにくいと却下します。そうしているうちにまた先ほど見咎められた男に見つかり、3人は逃走します。

ここで琴葉は同じ男が執拗に3人を捜していることから、その男が何か隠している(仮説3)と推測し、バラバラ殺人死体ではないかと予想します。
そしてまた異なる立入禁止の路地を発見し、入り込むのですが、先の男に三度見つかってしまいます。

読者への挑戦状
ここまででなぜ路地が立入禁止になっているのかを指摘しえる全ての手掛かりは出揃った。
みなさんに立入禁止の謎を予想してほしい。
(読者への挑戦状はアニメには挿入されていません)

答えはこの画像が語ってくれます。

琴葉は「クリーンアップキャンペーン」から、地面がペンキ塗りたてで立入禁止になっていたことを看破します。そして逃げても逃げても男が追いかけてきたのはペンキの足跡が残って行き先が一目瞭然に分かるからでした。





ミステリ的に優れているのは、まず仮説をいくつか列挙してそれから消去法を使っていく推理手法です。消去法は推理としては問題点もあるのですが、ミステリとしては極めて良く使われる手法です。
怪しい立入禁止があったら、テレビ的には、すぐに誰かが何かを隠していると飛躍的に考えてしまいそうなのですが、それに至るまでの論理をしっかりと描いているのが素晴らしいです。
さらに同じ男が何回も追いかけて来るというのも良い伏線になっています。足跡が分かるのですから行先も当然分かるので3人を見つけることは容易です。
そして重要なのは男が立入禁止区域には入ってきていないことです。子供を叱るのであれば、そのまま追いかけていきそうなものですが、ペンキが塗りたてですから追いかけるわけにはいきません。
さらに琴葉の「上に何かがある」という仮説1と真実の「下にペンキがある」という構図の対比は見事です。この2本目の前に1本目で「灯台下暗し」というキーワードが出てくるのも見逃せないポイントでしょう。
実はさらに大胆な伏線が張られています。

2つ目の立入禁止に入ろうとする瞬間ですが、しっかり白い足跡がついています。よく見てないと気付かないですが、視聴者にフェアであろうとする精神の表れではないでしょうか。



真相を見抜くことができるだけの伏線がしっかりと張ってあり、かつフェア精神というミステリの中でも『本格』の魂を感じずにはいられません。
1話も『日常の謎』のミステリとしても鑑賞に耐えうる作品となっているので是非Amazonプライムビデオなどで見てみてはいかがでしょうか。