倉阪鬼一郎『五色沼黄緑館藍紫館多重殺人』感想

倉阪鬼一郎五色沼黄緑館藍紫館多重殺人』読み終わった。
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さて今回も倉阪さんらしいバカミスですが、今作は前作2作にも増してバカミス的仕掛けに傾倒しています。その執念には脱帽するばかりなのですが、ミステリとしては前作2作の方が出来は良いのではと思います。
ただこの小説はバカミスという点に留まらずアンチミステリ的な(もっと言えばメタミステリ的な)部分にまで昇華させたことにあると思います。
本作を読む前に前作2作品を読んでおくことをオススメします。その方が仕掛けがグレードアップしていることに気付けるでしょうし、なによりいきなりこの小説から始めると、バカじゃないのと読み終わった後、投げ捨ててしまう可能性がなきにしもあらずなので。

以下軽くネタバレ感想を書きます。





館が本当は美術館だったというのは別にいいのですが、登場人物の台詞があまりにも読者を騙そうとしすぎているのが気になります。一応作中作という体になってはいてもやり過ぎではないでしょうか。作中作であってもエレベーターを雪上車と呼ばせる必然性は感じられません。
またこの小説は絶版になっていて今は古書を買うかや図書館に行って読むか以外では電子書籍を購入するしかありません。そしてその電子書籍に作者近影が入ってないのが一番の問題です。最後に作者が浮かび上がるからの作者近影が最大のハイライトなのに、それをオミットしてはこの小説の価値がぐんと下がります。
出版社は是非電子書籍を作り直してください。

某県・五色沼のほど近くに唐草模様で彩られた黄緑館・藍紫館という名の面妖な洋館が並んで佇んでいる。深い霧と降りしきる雪の中、館のお披露目パーティーが開催された。が、招待客はわずか4人。奇妙なムードの中第一の殺人が!!被害者は「怪物が…」と死の直前に呟く。連鎖し起こる不可能殺人!衝撃の真相が待つ。