倉阪鬼一郎『八王子七色面妖館密室不可能殺人』感想

倉阪鬼一郎『八王子七色面妖館密室不可能殺人』読み終わった。
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もちろん今回もバカミス。ただ今回は読み終わった後に無駄な努力をしたなと苦笑したくなるような他の3作と異なり、バカミスとして仕掛けられた伏線が物語の結末を印象深くするのに大きく貢献しています。
なんの意味もなかったお遊びとしてのバカミストリックが4作を経て、その必然性を与えられたということに内容以上に感動をしていまいました。
内容以上にと書いたのは、本筋だけでも「泣ける」物語だと言うことです。それがバカミストリックによって、登場人物の想いが強く感じられ、より感情移入できるようになっています。
トリック偏重なのですが、それを感じさせないので、いわゆる一般的な(本格ではない)ミステリが好きな人にもオススメできます。
4作中では本格ミステリが好きな人にはまず『四神金赤館銀青館不可能殺人』から(最初から読むことでバカミストリックのレベルアップを楽しめます)、そうでない方は本作『八王子七色面妖館密室不可能殺人』を読んでみてはいかがでしょうか。

以下ネタバレを含みます。



バカミスの部分には特に言うことがありません。その労力に頭が下がる思いでいっぱいです。ただ密室殺人の謎の方は少し苦しいかなと思います。
最もちょっと…っと思ったのは虫を本の文字の意味とするところで、伏線張ってあっても流石に厳しいです。第四の不可能殺人のような古書店を利用したトリックはとても巧みなのですが。

八王子の一角にある七色に外壁を塗られた洋館、七色面妖館は魔術・拷問・占星術邪教など、倒錯的なテーマをもつ七つの部屋を擁している。各部屋に収められた財宝を目当てに訪れる、一癖ある客たちを惨劇が襲う。魔術研究家が密室内で刺殺される事件を皮切りに連続する七つの不可能殺人。館主の依頼を受けた探偵、宵内初二は、すべての謎を解き、七色面妖館に隠された大きな秘密に肉薄するが…。