青柳碧人『上手な犬の壊しかた 玩具都市弁護士』感想

青柳碧人『上手な犬の壊しかた 玩具都市弁護士』読み終わった。
これ私は新シリーズの作品だと思っていたのですが、『玩具都市弁護士』の続編だということに読み終わってから気付きました。したがって、前作を知らなくても何の問題もありません。

本作は玩具がAIによって知能を持ち人間と共生しているという世界で起きる殺人事件の謎を解くというミステリーになります。
世界設定は楽しそうですが、なかなか凄惨で悪意に満ちた犯罪が引き起こされます。玩具というガジェットを利用したトリックが主眼の作品ですが、それだけでなく各短編で
・アリバイトリック
・密室殺人
・消失の謎
・見立て殺人
本格ミステリのエッセンスが詰まっていて手軽にたっぷりと様々な本格の面白さを味わえます。

以下、軽くネタバレしつつ各短編の感想を書きます。






倒すのはドミノだ
死体の周りにドミノが並べられていて、一番の容疑者にはドミノを並べる時間がなかったというアリバイ崩しものです。
謎は魅力的なのですが、トリックはちょっと非現実的かなあと思います。むしろドミノ自動並べ機の存在を知らなかったので、それが犯人だったという方が私には意外性がありました。


アニマルカートの死角
大勢の観客がいるカーレース中に消失したアニマルカートの謎。これも謎は魅力的なのですが、かなりアクロバティックなトリックが使われています。まあメルヘンチックでいいかもしれませんが、微妙に思う人もいるかもしれません。

ペトリス、落ちた
酔っ払って眠っていた主人公のベイカーと同じ部屋で殺されていた密室殺人の謎。これも実現可能性に疑問符は付きますが、トリック自体は玩具をうまく使っていて面白いです。伏線の張りかたも良いです。

GOD-DOGの一族
ロボット犬の中での派閥争いの最中に起こる連続殺人(玩具)の謎。見立て殺人のような流れになっています。
派閥争いの意外な展開、そして連続殺人の意外な犯人と読み応えのある作品です。ただ最後の殺人は、流石に被害者が油断しすぎだろうと思うので、もう少し練って欲しかった。

捨てられた玩具とわけありの人々が暮らすバッバ・シティ、通称「悪魔のおもちゃ箱」。元敏腕弁護士のパン屋ベイカーのもとには、今日も一筋鍋ではいかない謎を抱えた玩具たちが訪れる。ドミノに囲まれた不可能殺人、アニマルカートレース場から忽然と消えた車体、マフィアドッグたちの勢力争い…。推理に長けた女子高生のミズキとともに、ベイカーは玩具の弁護に東奔西走!