綾辻行人『時計館の殺人 <新装改訂版>』感想

綾辻行人時計館の殺人 <新装改訂版>』読み終わった。新装改訂版が出ていたので名作を記事に書きたいと思い読みました。改訂版では上下巻に分冊されています。

さて内容の話に移りますが、やはり傑作です。『十角館の殺人』から始まる館シリーズの中でも一番の面白さではないでしょうか。その面白さというのは、やはりメイントリックの奇抜さが大きなウエイトを占めていると思います。

詳しくネタは割りませんが、ありがちなトリックを新本格における『館もの』で味付けをすることで、ここまで新鮮味を与えることができるのかということに驚きます。さらに、そのトリックが人間の苦悩や悲哀を表現するところにまで敷衍させているのは流石としか言いようがありません。

伏線の張り方も素晴らしいです。読み返すとかなり派手に書かれているのですが、それになかなか気付かせないのは匠の技です。

また館シリーズにお決まりの本格ではタブーとされる隠し通路も途中でネタを割ってあるので、ミステリとしての瑕疵にはなりません。

以下、犯人の名前を含むネタバレをするので伏せ字にします。読みたい方はスマホならテキストだけ表示にすれば読めます。(iPhoneならURL左のボタン)
最終的に伊波紗世子が犯人ですが、光明寺美琴と伊波紗世子が入れ替わっていて光明寺美琴が犯人でも面白いのかなと思いました。江南が死体を確認しているので入れ替わりトリックは不可能ですが、その時に伊波紗世子の死体を確認したことにすれば、殺されたと思っていた光明寺美琴が、実は伊波紗世子に成り代わって鹿谷に姿を見せていたとしても成立しそうです。ただその場合は、光明寺美琴が有名人でなく鹿谷や福西との面識がないようにしないとダメですが。ここまで。読みながら考えていただけなので、無理があるかもしれません。ただ思いついただけですが書いておきます。

館を埋める百八個の時計コレクション。鎌倉の森の暗がりに建つその時計館で十年前一人の少女が死んだ。館に関わる人々に次々起こる自殺、事故、病死。死者の想いが時計館を訪れた九人の男女に無差別殺人の恐怖が襲う。凄惨な光景ののちに明かされるめくるめく真相とは。第45回日本推理作家協会賞受賞。

時計館の殺人<新装改訂版>(下) (講談社文庫)

時計館の殺人<新装改訂版>(下) (講談社文庫)