早坂吝『メーラーデーモンの戦慄』感想 - 上木らいちシリーズのファンアイテム

早坂吝『メーラーデーモンの戦慄』読み終わった。

援交探偵上木らいちシリーズの最新作。今までは、シリーズのどの巻から読んでもいいと言っていたが、この本だけは今までに出ているシリーズ*1を全て読破してから読むべきだろう。過去作に出た登場人物などが再登場してシリーズもの好きにはマストの一冊だと思う。また時系列的も前作より引き継がれている。ところが困ったことに実は私、早坂吝ファンを自称しているにもかかわらず、『双蛇密室』を読んでいなかったことに、この本を読んで気付いた。深く謝罪いたしますとともに、すぐに読みます。なので読み始めて、ん?と首を傾げてしまった。『双蛇密室』だけ読んでなくてもこうなのだから、らいちシリーズを未読の人はまず他のをオススメする*2

それで大事なミステリーとしてなのだが、らいちシリーズらしいエロが謎に絡んでいたり意外な犯人だったり十分楽しめた。展開も小ネタを散りばめて謎解きをしながら新たな謎が出てくるという形式で、先が気になる展開だし、動機もやりすぎな感じが外連味があって良かった。ただ綺麗なミステリーにまとまっているが、今までの早坂ミステリーからすると端正すぎるかもしれない。

早坂ミステリーファンに向けて書いたと思われる一冊だが、ミステリーとして常識の埒外からガツンと殴られるような早坂ミステリーファンが期待している(と私が思っている)ものを超えているかというのは少し疑問だ。最後に批判を書いて感想を終わるとネガティブなイメージが付くので、改めて言っておくがミステリーとしては面白い。でもターゲット層的には満足できないかもしれない。

あらすじの後ネタバレを含んだ感想。

メーラーデーモンの戦慄 (講談社ノベルス)

メーラーデーモンの戦慄 (講談社ノベルス)

メーラーデーモンを名乗る者から「一週間後、お前は死ぬ」というメールが届いた後、殺害される連続殺人が発生!「お客様」を殺された上木らいちは捜査を開始。被害者は全員、X‐phone社のガラケーを所有していたことが判明する。一方、休職中の元刑事・藍川は「青の館」で過ごすが、小松凪巡査部長のピンチを知り、訳ありの宿泊者たちと推理を展開。らいち&藍川、二人は辿り着いた真相に震撼する!!


Twitterのところは暗号ミステリーっぽくてよく考えたなあと思う。それと『オイディプス王』を合わせるところも面白い。早坂さんはこういう新しいガジェットを上手くミステリーに取り入れるのも上手い。私もTwitterを始めてやった9年前、下から上に時系列が流れていくシステムに戸惑った覚えがある。

*1:『○○○○○○○○殺人事件』『虹の歯ブラシ 上木らいち発散』『誰も僕を裁けない』『双蛇密室』

*2:別シリーズ『RPGスクール』のネタもあり、らいちファンというより早坂ファン向けかもしれない