青崎有吾『図書館の殺人』感想 - 青春小説としてもヤバみを増す裏染天馬シリーズ第4弾

青崎有吾『図書館の殺人』読み終わった。

高校の百人一首研究会の部室を根城いや寝城にしているアニメオタクで頭脳明晰な名探偵・裏染天馬が活躍する本格ミステリーシリーズ第4弾である。シリーズは館ものとは言いつつも、本格ミステリーによく登場するキテレツな館ではなく、体育館や水族館など現実に存在する館を舞台にしている。

今回は、図書館で殺人事件が発生。「く」という文字と小説の表紙の登場人物の顔に丸を付けられたダイイングメッセージが残されており…という『平成のエラリー・クイーン』二世*1らしい本格ミステリーとなっている。

転がる死体は一つだけで派手さはないものの、小さな謎→推理→また新たな謎が出現という繰り返しで小説にどんどん没入していく。最後の謎解きは、さすがエラリー・クイーンの異名らしい緻密で端正な推理が美しく、偽手がかりの可能性もしっかり潰していく姿勢にも脱帽する。ダイイングメッセージものだけど、それを単なるダイイングメッセージとして使うことなく、ちゃんと謎解きの『メイン』の一部になっていて(偉そうだが)模範的なミステリーだった。おまけのような結末の仕掛けも良かった。

さてミステリー的にはこれまで述べたように面白かったんだけど、今回は青春小説としても深みが増していきてるような印象を受けた。今まで裏染天馬はアニオタだし無気力だしで恋愛や友情に無頓着だったけど、今作では初登場の城峰有紗となんかいい雰囲気になったり、急にイケメンな対応をし出したりして、裏切られたどうしてしまったんだ?と少し面食らってしまった。心なしかアニメの話題も巻数を重ねるごとに少なくなっているような…

そして結末には裏染天馬の過去も少し明らかに。ただ、こう来たかって感じだった。天馬と柚乃の緩いラブコメのような展開を少し期待していただけに、天馬の過去はやっぱり裏切られた想像していたものとは違っていた。アニオタというだけで共感していた自分が馬鹿だったようだ。

それはさておき、ミステリーとしてはプロットも謎解きも上手く作られていてとても面白かった。ただ読むときは、登場人物を知る意味でも第1作の『体育館の殺人』から先に読んだほうがいいかもしれない。どうでもいいのだが『キルミーベイベー』を徹夜で見るのは無理だと思う。絶対途中で寝る。

図書館の殺人 (創元推理文庫)

図書館の殺人 (創元推理文庫)

体育館の殺人 (創元推理文庫)

体育館の殺人 (創元推理文庫)

期末テスト中の慌ただしい9月、風ヶ丘図書館で死体が発見された。閉館後に侵入した大学生が、山田風太郎の『人間臨終図巻』で撲殺されたらしい。しかも現場には一冊の本と謎のメッセージが残されていた。警察に頼まれ独自の捜査を始めた裏染天馬は、ダイイングメッセージの意味を解き明かせるのか?ロジカルな推理、巧みなプロットで読者を魅了する“裏染シリーズ”第4弾。

*1:一世は有栖川有栖