木元哉多『閻魔堂沙羅の推理奇譚 点と線の推理ゲーム』ネタバレ感想 - 刊行が早すぎるシリーズ第4弾

木元哉多『閻魔堂沙羅の推理奇譚 点と線の推理ゲーム』読み終わった。

死んだ後に自分の死因を推理して正解すれば閻魔堂沙羅に生き返らせてもらえるというミステリーの第4作目。毎シーズンのように新刊が発売されているこのシリーズ。正直刊行スピードが早すぎて内容がおざなりになっている気がしないでもない。

今回も1巻の中でちゃんとしたミステリーは2編だけだし、あとは沙羅の日常を描いたような掌編が差し込まれているだけである。そしてそのミステリーの出来もあまりいいとは言えず。シリーズ第1作のときは、設定が面白くて沙羅のキャラクターも魅力的だったが、もう4作も立て続けに出されるといささか食傷気味の感は否めない。なら買うなという話ではあるのだが。

むしろ本格ミステリーよりもハートフルなライトミステリーの方面を強化しているように感じる。ライトノベルのようにどんどん出さなくても、もうちょっと練って一年に一回くらいのペースで出していけば、新刊が待ち遠しいし、やかまし本格ミステリー好きにも一目置かれるようなシリーズになったかもしれないのになと思った。まあ本格ミステリー好きに好かれても特にいいことはない。以下各短編の感想をネタバレありで書く。

向井由芽 13歳 中学生 死因・撲殺
こちらは「犯人を当てれば5万円プレゼント」という企画で出題された問題を解答付きで再録したもの。だけど石を凶器に使うこと自体が不自然でないのであれば、由芽の身長が高いか低いか知っていようが知らまいが、結局、由芽が階段を一段降りたところで石を振り下ろしたに違いなく、これで犯人が確定できるものではないと思う。実際に殺人者を正しく推理できた読者は7.6%にすぎない。

閻魔堂沙羅の日常
ミステリーではなくスピンオフのような短編。だけど閻魔堂沙羅のイメージがなんか違ってたな。かなり内弁慶に描かれているが、もっと理性的な良い子だと思っていた。リアリティーはあるかもしれないが、このスピンオフで沙羅のファンは喜ぶのだろうか。

久保竜樹 47歳 元ヤクザ 死因・刺殺
至近距離で撃ったのか狙撃されたのかは警察が調べれば普通に分かると思うし、真島も音が聴こえるならそんなに遠くから撃たれたことでないのが分かるはず。デザートイーグルは最大射程80mで、反動もでかいので、軍人でもない人が狙撃に使うには向かないんじゃないか。

閻魔堂沙羅の推理奇譚 点と線の推理ゲーム (講談社タイガ)

閻魔堂沙羅の推理奇譚 点と線の推理ゲーム (講談社タイガ)

中学生の由芽は気づいたら死んでいた。閻魔大王の娘・沙羅は私を殺した犯人を当てれば生き返らせると言う。そういえば、最近変なことが続いていた。担任の不倫写真が撮られたり、ダメ親父の描いた絵が高値で売れたり、なによりナイフで脅されて一度解放されてから撲殺されたり―。鍵は、不可解な状況を繋ぐ点と線。由芽はたった一人の家族のため、霊界の推理ゲームに挑む!