蒼井碧『オーパーツ 死を招く至宝』感想 - ダブル名探偵【このミス大賞受賞作】

蒼井碧『オーパーツ 死を招く至宝』読み終わった。

本作は第16回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞している。このミス大賞は、本格ミステリーが大賞を取ることはあまりなく、ミステリーというよりも物語の面白さを重視しているみたいだから最近は避けてきたが、今回は本格ミステリーで大賞を受賞ということもあって、文庫化したので読んでみた。

姿形が酷似した人間のことをドッペルゲンガーというが、本作も容姿がそっくりな鳳水月と古城深夜の2人が探偵になったり助手になったりしながら、謎を解明していく。いわばドッペルゲンガー探偵だ。そして古城深夜はオーパーツ鑑定士を名乗り、事件には様々なオーパーツが絡んでいる。オーパーツとはナスカの地上絵やモアイ像のような、その時代にそぐわないような技術などを使って作られたものを指す。

水晶髑髏、黄金シャトル、恐竜、巨石群というオーパーツ?がテーマになっている。様々な遺構の衒学が知れるというだけでも面白いし、男のロマンを感じるのだけど、いかんせんミステリーの方はちょっと物足りない。決して悪くないんだけど、分かりやすすぎるきらいはある。キャラクターは、シリーズ物にするには癖がなく馴染みやすいのではないかと思う。

ちょっと上手いこと言おうと狙ったような台詞が多くて、そういう部分は読んでてこっちが恥ずかしくなってきてしまったが、デビュー作は大抵こんなもんなのかもしれない。私も小説書いたことはないが、上手いこと言おうとしてしまう気持ちは分かる。

Amazonレビューなどではやけに貶されているが、そこまで悪いとも思わない。このミス大賞ならこんなもんじゃないだろうか。あんまり期待してなかったからか分からないが、割と楽しく最後まで読めた。

十三髑髏の謎
トリックはなかなか面白いけど、流石にこのトリックは無理ではと思ってしまう。バカミスの雰囲気もあって、これがトップバッターなのは損してる気がする。

浮遊
謎のUFOの正体はモロバレで、犯人も大概予想はつく。古城は、ある表現が怪しいと睨んだようだが、これは別に比喩表現なので言葉通り取られても正直困るのではと思った。

恐竜に狙われた男
トリックがわかりやすすぎる。恐竜と人間の共生をこのトリックに託けるのはちょっと無理があるのではないか。恐竜の蘊蓄は本作で一番面白かった。鳳が探偵になるのは意外性があっていい。急にバトルが始まって笑ってしまった。西尾維新かと。

ストーンヘンジの双子
これも挿絵が書いてあって、絵を見た瞬間にトリックが分かる。こういうアクロバットな大仕掛けは嫌いではないが、犯行後の挿絵を探偵の犯人指摘後に載せるべきだったと思う。これではカタルシスが薄すぎる。

エピローグ
連作短編を纏め上げる章。こじつけが強いが、続編展開を予感させる締め方で、第1作ならこれでも良いのではないかと思う。本当ならドッペルゲンガーを使ったトリックが欲しいところだが、もしかしたらこれは続編に取っているのかもしれない。

貧乏大学生・鳳水月の前に現れた、自分に瓜二つの男・古城深夜。鳳の同級生である彼は、オーパーツ―当時の技術や知識では制作不可能なはずの古代の工芸品―の、世界を股にかける鑑定士だと自称した。水晶髑髏に囲まれた考古学者の遺体に、密室から消えた黄金シャトルなど、謎だらけの遺産をめぐる難攻不落の大胆なトリックに、変人鑑定士・古城と鳳の“分身コンビ”の運命は?

オーパーツ 死を招く至宝 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

オーパーツ 死を招く至宝 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)